春節に合わせ2月17日から10日間、帰省していた。行きは家族三人で、帰りは先に上海に戻ったSさんを追う形でKと二人で。

大阪行きの飛行機内には、すぐ近くに小さな子連れのお母さんが座っていた。中国人ママさんのよう。お子さんは1歳くらいか、ひざにのせたり足元（一番前の席ではないから狭い）で遊ばせたりしていたが、だんだんとご機嫌が悪くなりぐずりだした。

Kはあの赤ちゃんうるさいね、と言った。私が、赤ちゃんていうのはみーんな泣いちゃうものなんだよ、Kちゃんの小さい時はもっとうるさかったよ～、ちっちゃん飛行機乗るの大変だったんだよ～、でも今はお兄ちゃんになったから本当におりこうさんに乗れるようになったねえ、と言うとKは少し誇らしそうにしていた。

その時、手元にKがお菓子のおまけについていた小さな指人形があったので、Kにこっそり聞いてみる。このお人形さんKちゃんあまり好きじゃないって言ってたからあの赤ちゃんにあげてみる？もしかしたら泣き止むかもしれないよ。赤ちゃんはこういう玩具好きかもしれない。Kちゃんには赤ちゃんすぎて面白くないかもしれないけれど。

Kはあっさり良いよと言った。それで私は指に人形をはめ、隣でえんえん泣いている赤ちゃんに向かい、気を引いてみた。すると幸い赤ちゃんが興味を示したので、それをお母さんに渡してうちの子には必要ないので差し上げますと言った。Kと、赤ちゃん泣き止んだね！Kちゃんのおもちゃあげたおかげだね！よかったね、Kちゃん偉かったねと言い合った。

しばらくして隣を見ると、赤ちゃんはお母さんに抱かれ眠っていた。お母さんと目が合ってやったねという顔で母親同士うなずきあう。一人で小さな赤ちゃんを連れて飛行機乗るのは一大イベント。ましてや今日のような満席ぎゅうぎゅうの、それも一番前じゃない席では大変だ。お疲れさまでございました。

乗っていた飛行機が関空に到着し、身支度をしていたら隣のお母さんに「さっきありがとうございました、これ・・・」と日本語で声をかけられた。Kはお礼にチョコレートを一粒頂いた。もちろん喜んで受けとり、その場でむしゃむしゃ食べる。ゴディバのチョコレート。ごーじゃす。

Kとのフライトは行きも帰りも順調に終わった。帰りの機内、iPadでレゴのゲームをするとき、アプリ開始直後に一瞬だけ映る車のレゴをスクリーンショットに撮れとうるさくて（一瞬なので技術的にとても難しい。何度か失敗した後成功した。Kは好きなものをスクリーンショットに撮ったあと、それをお手本にレゴを作ってもらったり自分で真似して作ろうとしたりするのが好きなのだ）、その時だけ不穏な空気が流れたけれど、あとは全く平和だった。

時節柄あちこちのカウンター前で長時間並ぶこともあったけれど、状況を説明すればわりと楽ちんであった。非日常ということで、おやつの消費についてあまり制限しなかったので、そのおかげもあるが、それを考慮してもずいぶんと成長したものであるなあと実感した帰省だった。