杨家渡から复兴东路の船着き場まで、10分もかからずあっという間に着岸。短い船旅だったが船上からは景色が広く見渡せ、秋風気持ちよく、とても幸せな気もちになった。写真は上流側。

もう着いたみたい、とデッキを出て階段を下りるよう促すとKは、もっと乗りたかったなーと名残惜しそう。階段を途中まで下りると、下ではバイクに乗った人たちがすでにエンジンをかけ外に出る準備をしていた。



同時に出るのは危なそうだと思い、彼らが出て行ってから下船する。私たちが最後の乗客だったみたいで、係員が私たちがゲートをくぐるのを確認してから柵を動かし出口を閉鎖した。

さてと・・・、とまずは地図を再確認しようかと日陰のある場所へ移動する。そしておもむろに自分たちが出てきた方向を振り返った。复兴东路の乗船口には行先が二つ表示されていた。一つは私とＫが乗ってきた杨家渡、もう一つは东昌路行き。あ、と思う。东昌路は2年前に母が上海に来た時、外灘へ行くのに乗せた船が出ているところだ。ということは、船を乗り継ぎジグザグ川を上って（下って）いくというやり方（？）ができるんだなあと思いつく。

百度地図で現在地から最寄の地下鉄駅までのルートを再確認。通りの名前と曲がるポイントを見て、一応Kにも説明する。始めは目の前に見える大きな歩道橋を渡るところから。この歩道橋、立地が理由か、階段ではなく緩やかな坂（滑り止め付）でできている。ラッシュ時にはバイクや自転車がここをのぼっていくのかもしれない。坂道が大好きなKはここのぼっていいんだね！？と喜んで駆けあがった。

歩道橋の上まできて、二人で来た方をまた振り返る。ちっちゃんたちあっちのほうから来たもんねー！と自分たちの足跡を確認。坂の上から写真を撮った。私がKの写真を撮り、Kが私の写真を撮ってくれた。外が明るくてモニターが暗く映るのを、Kは「暗くてちゃんと撮れないよ～」と言っていたが、後で見返したらちゃんとブレずに映っていた。斜めにならずまっすぐ撮れてるしなかなかやるね。

歩道橋を渡り終え、小南門駅まで歩く。距離にして1キロほど。なるべく体力が消耗しないようにと日陰を選んで歩いたが、眠くなる時間までたぶんあと少し、途中で飴を渡して機嫌をとりながらの散歩みち。小南門付近、中華路のあたりは古い建物が多く残っていた。里弄、リーロン、北京でいうところの胡同みたいなやつ？全然詳しくはないがそういう古い様式の住居がまだ残っていて、そこには普通に人が住んでいるようだった。



前日の夜に、たまたまSさんと「上海物語」というNHKが編纂したDVDを見たのを思い出す。90年代、都市開発真っ只中にある上海の記録映像で、里弄に住んでいた人々が立ち退きに応じるまでの様子を描いたものだった（第2部）。エンディングで1929と印された建物の石を、工夫がつるはしで端からがんがんに壊していくシーンが印象的だったのだけど、この日Kと見た里弄の入口にはまさに「1929」と彫られており何だか妙な縁を感じた。計画から外れ（もしかしたらこれからあるのかもしれないし、立ち退きをすでに命じられているところかもしれないけれど）、こんなふうに昔からの形のまま暮らしを残している場所が、数は少ないのだろうが上海にはまだあるんだ。

Kと道に落ちているうんちを踏まないように冷やかし合いながら、無事地下鉄駅まで到着。駅構内に入るまでに長い階段があって、もう疲れてないかな大丈夫かなと心配したが、Kは小さい足で頑張った。出発時刻からまもなく3時間、正午を過ぎている。昼食をどうしようか相談すると、Kは外で食べてから帰りたいと言う。それでまっすぐは帰らず、地下鉄を途中下車し、いつものカフェでパスタを食べ、ソフトクリームを食べた。エクレアを食べたのにソフトクリームなんて！と思ったけれども、「アイスを食べたら、帰ったらすぐねんねする」というので買ってしまった・・・。

地下鉄にもう一度乗り、自宅に帰り着いたのは14時頃。すぐに歯磨きをして、リビングにシーツを敷き、二人で横になる。（昼寝のときに寝室で寝ず、リビングで寝るのが最近のはやり）Kは5分も経たずに眠りについた。まるまる2時間ぐっすりと眠った。結構歩いたからなあ！私も横でいっしょに寝る。心地よい疲れだった。また船乗りたいな。乗るよ。（乗ったよ）