写真は2月に栃木県まで行ったいちご狩りのときのもの。

写っている左手、絶妙に隠している（つもりはなかったが）けれど、結婚以来ずっとはめていた指輪をしていない。

2月中旬過ぎ、積もり積もった感情を爆発させるついでに、私はSさんに自分の結婚指輪を返してしまった。返すと言うとわりと穏やかな物言いだけど、実際のところはもう要らんと投げつけたのである。やられたSさんにとってはもちろん、自分でやらかした私にとってもショックな出来事だった。

その日以来、「またしてもらえる日まで大事にとっておく」、「忘れないように財布に入れておく」と言われ、そのまま私の結婚指輪はSさんの財布に保管されている状態が続いている。

それからひと月以上が経った頃、一度だけいつ返してくれるのと聞いたことがある。混乱期は過ぎたのだからもういいじゃないと。その時は「まだ指輪は返せないな」と断られ、私もまあ、それ以上は追及しなかった。SさんにはSさんのタイミングがあるのだろうと。

そして、「結婚指輪、返還事件」からふた月が経とうとしている、先週のある日。再び東京を発つ前に、Sさんがぽそっと指輪をまだ返せない理由（の一つと思われる）を呟いた。

何でも、常宿にしている関西のビジネスホテルに、今「専用の指輪磨きセット」を取り寄せていて、それでSさん自ら磨きたいのだそうだ。夜、仕事が終わってからホテルの部屋で磨くんだって。

それはそれは・・・

その話を聞いてもうすぐ1週間。まだ指輪は返って来ない。しばらく関西勤務でもないし。・・・・私の左手の薬指は、出来ていた窪みのような跡が日に日に消えつつある。返って来たとき入るかどうか、少々心配である。